ウォール街が選んだ三ツ星カラーズの10個の原則
おはようございます。
今回もどうぞよろしくお願いします。
今期私が視聴したアニメは全部で27作品です。
・伊藤潤二『コレクション』
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン
・オーバーロードⅡ
・からかい上手の高木さん
・キリングバイツ
・グランクレスト戦記
・恋は雨上がりのように
・刻刻
・citrus
・スロウスタート
・宇宙よりも遠い場所
・だがしかし2
・たくのみ。
・ダーリン・イン・ザ・フランキス
・デスマーチからはじまる異世界狂想曲
・刀使ノ巫女
・七つの美徳
・博多豚骨ラーメンズ
・ハクメイとミコチ
・BEATLESS
・Fate/EXTRA Last Encore
・魔法使いの嫁
・メルヘン・メドヘン
・ゆるキャン△
・ラーメン大好き小泉さん
・りゅうおうのおしごと!
基本的にあいうえお順で書いていく事になりますが、ヴァイオレット・エヴァーガーデンに関してだけは、諸事情により最後に持っていきました。
この作品を最初の方に持ってくるのはちと荷が重いです。
・伊藤潤二『コレクション』
ホラー漫画界の奇才、伊藤潤二の『伊藤潤二傑作集』と『魔の断片』に収録されている作品を原作としてアニメ化された作品。
各回複数のエピソードが収録され放送された今作だが、まず私が感じたのはエピソードによってクオリティの差が激しいということ。
原作をほとんど読んでいないのでそこにどのような必然性や作為性があったのかはわからないが、オチまでしっかり描いてる作品もあれば、こんな化け物が居ますよとただ紹介するだけに終始した作品もあり、拍子抜けする事も多かった。
しかしここぞというエピソードには名声優の素晴らしい怪演でもって盛り上げようとする意気込みは十分に感じられ、思わず見入ってしまう程のシーンも多く、単純に見ていて面白い作品だった。
個人的に気に入ったのは、「地獄の人形葬」、「長い夢」、「四つ辻の美少年」、「穏やかな別れ」、「グリセリド」。
私含め、このアニメをきっかけに伊藤潤二作品を読んでみたいと思った人は多いはずだ。
・オーバーロードⅡ
原作単行本&WEB版全て既読済み。
流行りの異世界転生俺TUEEEEものだが、このオーバーロードはその辺の駄作とは違う。
オーバーロードの長所は、その膨大な設定と主人公がまっとうにこの世界を攻略しようとしている所にある。
ナザリック地下大墳墓のメンバーは舞台となるこの世界において絶大な力を持っているが、アインズはその力の使い方を弁えており、それを攻略するための最善手として行使する。
なのでエピソードによってはその持っている力と比較してスケールの小さい戦いが描かれる事もあるが、それは今後のナザリックを盤石とするために、そして力を解放し最高のカタルシスを得るために必要な事なのである。
そう思わせる根拠が上記の膨大な設定にある。
アニメでは細かく描き切れてない事が多く、特に今回の二期は一期に比べると右肩下がりに感じた人も多いだろうが、原作を読んでいればこの先どうあがいても面白くなるだろうという事は容易に想像する事が出来る程のわくわくさせる設定がこの作品には詰め込まれている。
今年の夏から放送される第三期では、そのピークの一つがやってくる。
原作既読者は今から楽しみで仕方が無いだろう。
・からかい上手の高木さん
話数を重ねるごとに高木さんのからかいに異性へのアプローチの香りが増えてくるのが見ていて楽しい今作。
高木さんの精一杯アプローチは、やがて最終話の西片からの「ありがとう」というささやかな返事を得る事で報われる事になる。
作中の占いの結果にもあったように、この作品の続きの二人には明るい未来が待っている事が容易に想像できる終わり方で非常に気持ちの良い締めくくりだった。
JPOPの名曲のカバーをEDに使用していた事も功を奏していたと思う。
私は男なので西片側からこの作品の構造を考えてみる。
中学生男子というのは可愛い女の子からならからかわれようが罵られようがとにかく話しかけられるだけで嬉しいわけで、それと同時に何を思ってこの女子は自分に話しかけてくるんだろう?という疑念と恥ずかしさも常に抱えている。
自分に自信の無い男子は特に。
だから女子のアプローチが男子にちゃんと届くまでには大きな壁が存在する。
西片はその疑念と恥ずかしさを高木さんからの「からかい」であるという気持ちに変換する事で精神的な均衡を保っていた。
その気持ちの変換行為が高木さんにとっての壁なのである。
だがそれは中学生までの話で、高校時代になるとその壁がかなり薄くなる。
それはもっと露骨に恋に性欲が絡んでくるからである
好きとか嫌いとか相手がどう想ってるかの前にとにかくやりたいのだ。
何が言いたいかと言うと、つまりこの『からかい上手の高木さん』という二十数分間ひたすら高木さんが西片をからかっているだけの作品は、中学生時代だからこそ成立していた。
これがもし高校生の二人として描かれていたら。
そんな無粋な事をしていたら、微笑ましさよりも煩わしさの方が上回っていたに違いない。
・キリングバイツ
動物の力を得た「獣人」による戦いを描いたバトルもの作品。
今期私が視聴したアニメの中では最も純粋にバトルそのものをテーマとした作品である。
正直一話を見た時の私のこの作品に対する期待値は底辺を彷徨っていたが、不要な日常回を出来るだけ省いて迅速に戦いの場へ移行した事が好印象だった。
バトルも意外にしっかりと描いており、時折ユーモアを挟みつつも十分にハラハラドキドキさせるもので、単純に見ていて楽しかった。
終わり方も続きが気になる所で区切られており、原作の宣伝という意味ではこのアニメ化は十分にやるべき事はやったと思う。
原作を購入しようとしている人間がまさにここに居るのがその証拠である。
・グランクレスト戦記
ロードス島戦記で知られる水野良原作の作品。
この作品は確かに戦記である。
戦、戦、とにかく戦。
愛も情も命さえも戦をするための代償に過ぎない。
この作品の面白い所は魔法師という存在にある。
契約によって君主に仕える存在である魔法師は、どこか戦争の中に居ながらもある種の俯瞰で戦況を見る立場にあるように見える。
私がこの作品を見ている時、私は君主よりも魔法師に感情移入していた。
そうする事で、グランクレストという世界の盤上をある意味ゲーム的に見る事が出来、精神的な意味で不必要にキャラクターに加担し過ぎずに戦況を楽しむ事が出来た。
その一方で、君主にはイライラさせられる事が多かった。
この作品には智謀の限りを尽くす頭脳戦がほとんど無い。
君主共はどいつこいつも脳筋で、行動原理が感情的に過ぎる。
物語の後半でどのような展開になっていくのかは楽しみだが、その辺りをもう少し掘り下げて欲しいと願うばかりだ。
・恋は雨上がりのように
この作品、実は私の地元を舞台としている。
主人公の橘あきらが通う風見沢高校の元ネタとなった氷取沢高校は、私の中学生時代の友人が何人も卒業した高校でもある。
氷取沢高校は確か通うのに徒歩でも自転車でも中途半端な距離にあり、通学するには少々難儀な高校だったと記憶している。
なので作中であきらが歩くシーンが多かった様に見えたのは、作者が氷取沢高校の関係者か何かで、そういう意味が含まれていたのかもしれないと考えると妄想が膨らみ楽しい。
またあきらが京急富岡駅に来るシーンがあったが、そこであきらが見た風景は、実は私が学生時代に毎日のように眺めていた光景と同じものであり、あのシーンが映し出された瞬間は我ながら鳥肌が立ってしまった。
私は基本的に聖地巡礼等には興味は無いが、なるほど確かにその舞台となった場所に自らが降り立つというのも作品の楽しみ方の一つであるという事は理解する事が出来た。
ただ感慨深い地元を舞台とした作品だとしても、この作品に言ってやりたい事は山ほどあるのだ。
まず主人公がときめくシーンで泡が浮かび上がる様な演出は辞めて欲しかった
恋愛ものにおける心情の浮き沈みを安易な演出で表現するのはチープに見えてしまう。
心情の浮き沈みもさることながら、物語の浮き沈みもあまり無く一辺倒で正直退屈だった。
作者は本当に恋愛を描きたかったのだろうか。
時折挿入される店長による詩的な表現も取ってつけたような印象を受けた。
何故そのように思ってしまうのか。
それは主人公の心情が単純明快過ぎるからだ
主人公は陸上で怪我して部活辞めて落ち込んでる所に優しくしてくれた店長が好き。
それだけ。
主人公にはそれだけしかない。
モノローグでもセリフでも主人公の心情が描かれる事はほとんど無く、そういう所に店長の詩的な表現が挿入されるとチープに感じてしまうのだ。
それ故に、主人公と店長の話よりも店長が九条ちひろと絡む回の方が店長の本音が聞けて魅力的に見えてしまった。
それは恋愛ものとしては良く無い事だと私は思う。
正直全体的に視聴者に訴えかけるものに欠けていた。
BGMの良さで場面場面を誤魔化していた感が否めない。
ただ一点、小説家を目指しながらも失敗続きで諦めていた店長の自らが発する言葉が、たった一人女子高生の心には重く尊く響いていたという持っていき方。
これだけは凄く良かった。
このシーンを無理やりにでも物語の最も盛り上がる場面に持って来るべきだった。
築き上げてきた人間関係をぶち壊してでも、無理やりにでもなりふり構わずこの展開を持ってきて、最後には主人公の一言で店長の心を動かす!
そしてAimerのEDでがっつり締める!
これが恋愛ものってもんだろう?
少なくとも私が見たいのは、そういう周りが見えていない恋焦がれた恋愛糞野郎の姿である。
総じてこの作品はカッコつけすぎたのだ。
みっともなくても良い。文学的で無くても良い。
最後には単純な感情の揺さぶりを私はこの作品から得たかったが、それが叶う事は終ぞ無かった。
・刻刻
時が止まった世界「止界」で繰り広げられるバトルもの作品。
この作品の特徴は主人公だけでなく家族もしっかり描かれている点だろう。
主人公が巻き込まれる事で始まるバトルものは大抵その家族は置いてけぼりにされる事に
なるが、この作品の場合は祖父、父、兄、甥も一緒に戦う事になる。
止界に巻き込まれる以前の主人公は就活や家族関係に苦労するどこにでもいる大学生だったが、家族と共にこの戦いを経験する事によって、最終的には家族や他人のためにこの誰も動く事の無い止界に残り続ける事を決意する程の精神的な成長を遂げる事となる。
最後の終わり方含めテーマ的な部分で見ても面白いが、単純にバトルものとしての設定や展開もハラハラドキドキさせる事が多く良かった。
最終話まで見ればすっきりとした満足感を得られる良作。
・citrus
竹達、津田、藤井、久保、井澤、金元
好きな声優のオンパレードである。やったぜ
このガチ百合作品は見ていて本当に疲れる。
桜Trickの様に甘くは無い。
甘い瞬間をじっくりと味わう事を許してはくれない。
何話もの苦難を乗り越えた先にある甘美なひと時は、それを味わう間も無く一瞬で崩れ去ってしまう。
それ故に、その谷間の時間の救済を担う純粋な可愛さが必要なのだ。
そしてそれをしょって立つのがはるみと姫子である。
この二人は可愛くて良い子でキャスティングもばっちりで、見事に作品の清涼剤と成った。
私は主人公や芽衣よりもこの二人をもっと見たかった。
この二人をもっと見たいが故に原作を購入しようと思った程である。
そして原作を購入する目的がこの二人から元の鞘、主人公と芽衣にいつの間にか移ってしまう事を密に願いつつ、私はにやにやしながら原作のページを捲るのだ。
・スロウスタート
この作品はスタンダードなきらら系作品に見えて、意外にキャラが良く出来ている。
中学浪人というトラウマとコンプレックスを抱える花名。
しっかりものだが飄々とした人たらしでコミュ力お化けの栄依子。
人見知りでたった二日間遊んだだけの栄依子を追い求め同じ高校に入学した冠。
にぎやかし枠に見えて実は家では家計と料理を任される程信頼されているたまて。
きらら系作品のキャラは基本的に皆仲良しだが、この作品は更によりを掛けて仲が良い。
冠は勿論栄依子を必要としており、栄依子はクラス中に友人が居るがその分特に仲の良いこのグループをより大事にしているのが分かる。
たまては世話好きで花名や冠を放っておけず、そして花名はコンプレックスを抱えながらも友人が出来た事を喜び3人に対する気持ちが特に強い。
ただ何となく一緒にいるだけでなく、お互いがお互いを求め合っているのが良い。
そしてこのスロウスタートのキャラクター達は、他人を褒める事に全くの躊躇が無い。
この作品を見ていると私は幸せになってしまう。
そういうパワーを持った作品だ。
またきらら系作品というのはそのスタイル上アニメ化された際には常に中だるみと戦う事になるが、それを解消するために、例えば意図的に強烈な個性をキャラに与えたり、テンポの良いギャグで飽きさせない様にしたり、シリアスな展開を多めに含ませたり、また題材として何かに特化させたりする。
しかしこのスロウスタートはどれもあまり当て嵌らない気がする。
何か意図的に尖った部分を見る事無く、純粋にキャラクターと言葉の掛け合いが好きになったきらら系作品は初めてかもしれない。
ちなみに私のお気に入りたまちゃん。
OPのもっともっと~♪の所の振付が最高に可愛いよね。
・宇宙よりも遠い場所
この作品を構成するのは、4人の少女達の意志である。
南極を舞台としたこの作品において、其の実南極そのものはあまり重要ではなかった。
メインを張る4人の少女達も、報瀬を除いて元々南極に興味があったわけでもなく、憧れていたわけでもなかった。
―――私は、ここじゃないどこかへ、このままじゃないどこかへ行きたくて、気が付いた
ら南極を目指してました
―――実はとても嫌だったのですが、でも、誰かと一緒に何かをしたくてここに来ました
―――受験勉強が始まる前に、何か大きい事を一つやりたいと思ってここに来ました
―――母が言ってた南極の宝箱を、この手で開けたいと思っています。皆さん、一緒に
南極に行きましょう
彼女達は自らの意志で南極に来たが、そこに具体的な目的があったわけでは無い。
もっと漠然とした、単純でかつ複雑な理由があった。
それが何かと言われれば、やはり青春という言葉が似合うだろう。
彼女達は青春を求めて南極へやって来た。
日本ではない、ここではないどこかで、誰かと一緒に、何か大きい事を一つやりたいと思って、南極へやって来たのだ。
だから、この作品のタイトルに南極という言葉は入っていない。
南極ではなく『宇宙よりも遠い場所』だ。
その場所に行く事そのものが彼女達にとっては重要だった。
そして彼女達はそこで手に入れた。
青春を手に入れたのだ。
そして親友と、もっと大きくなった意志を引っ提げて、彼女達は日本へ帰ってきた。
強くなった4人の少女達が奏でた青春の物語は、幾度と無く私に感動を届けてくれた。
私はこれから生涯にわたり、心の中でざまあみろと叫びながら、何度でも彼女達の青春を味わいたく『宇宙よりも遠い場所』のBDを見返す事になるだろう。
・だがしかし2
駄菓子屋を舞台としたコメディー作品。
一期は30分枠で放送されたが、今回はたくのみ。と15分ずつ分け合う形に。
制作会社も変更された。
その影響もあってか、今回のだがしかし2は一期よりも全体的にかっちりしていないと言うか、どこかふにゃふにゃとした浮ついた印象を受けた。
駄菓子の描写も減り、一期であれだけ可愛いと思ってたほたるにもあまり魅力を感じない。
何故だろうか。
結局私はほたるが意気揚々と駄菓子を紹介する可愛いシーンを見たいだけだったのだ。
駄菓子屋の行く末やココノツがこの先どうするかなんてのはどうでも良い事で、とにかく可愛いほたるを見てにやにやしたかったのである。
サヤ師やハジメのファンには悪いが、彼女達ではほたるの代わりには成れなかった。
私にとってこの作品は、ほたるが魅力的に描かれて初めて成立する作品だった。
・たくのみ。
シェアハウスでの共同生活を通して宅飲みを楽しむ様子を描いた作品。
酒を知らなくてもキャラクターを見ているだけで楽しめる作品だったと思う。
そして金髪+安済知佳=可愛い
安済知佳という声優は、声に憎らしさと可愛らしさが同居する不思議な声質を持っている。
チャイカ、ユーフォの麗奈、グリムガルのメリイ等、彼女が演じそのイメージがぴたりと合ったキャラクターは秀逸なまでに仕上がる。
これからの活躍も期待したい声優の一人。
・ダーリン・イン・ザ・フランキス
出た。圧倒的ヒロイン力で幼馴染から主人公をかっさらう押しかけ女房ものだ。
この作品のコドモたちは皆籠の鳥である。
そしてそれは我々視聴者も同じだ。
ダーリンインザフランキスの前半で我々が目撃するのは、世界の理でも無く、戦の行く末でもなく、ただ小鳥達の戯れだけ。
鳥籠の中は広いようで狭い。
コドモ達がオトナの許しを得て空へ飛び立つ事が出来るのは、比翼の鳥になる時だけだ。
今はまだ雌伏の時である。
物語の後半、コドモが子供に、そしてオトナではなく大人になれる時が来るのかどうか。
パラサイトにどのような意味があるのか。
叫竜とは何なのか。
様々な伏線の回収を楽しみにしつつ、第13都市部隊が飛躍するその瞬間に、我々視聴者の興奮が彼らと共にあらん事を願う。
TRIGGERならやってくれるはずだ。
・デスマーチからはじまる異世界狂想曲
テンプレ異世界転生もの。
WUGちゃんによる最高のED曲と作品の内容との乖離が激しい。
好きなキャラはアリサかな。
作品に対して言いたい事は特に無い。
・刀使ノ巫女
本渡楓の声をこれでもかと聴ける眼福ならぬ耳福な作品。
アニメガタリズでも同じ事書いた気がする。
よくわからない悪い者と戦う美少女達の奮闘を描いたお決まりのアニメ。
魔法少女ものの派生。
この作品の特徴は、通常では起承転結の転に当る部分を最初に持ってきた事である。
多くの魔法少女系アニメにおいて、味方だと思っていた者や崇めていた者が実は敵だったという設定は有りがちだが、大方それが判明するのは起承転結の転の部分である。
起で主人公が力に目覚め、承で強敵を打ち破り、転で敵の本性を見定め、起にて打ち倒す。
しかしこの作品ではその味方が敵であるという部分が序盤で判明する事で、作品が最も盛り上がる部分である転と結で1クール分まるまる使う事が出来た。
だが作品の盛り上がりを重視する分、起と承で描かれるはずだった登場人物そのものの物語が薄く感じられてしまった。
例えば主人公の行動原理であったり、舞草の二人が組織で育ちながらどのように思い、そしてどう今に至ったか等、何故彼女らが戦っているのかという理由は分かっても、どういう想いで戦っているのかを描き切れていなかったと思う。
そこがゆゆゆとの差かな。
2クール目でどうなるかわからないが、可愛いキャラクター達を目一杯に描いてくれれば私はもうそれで良いと思っている。
・七つの美徳
ホビージャパン!
ガブリエル可愛い
・博多豚骨ラーメンズ
殺し屋、復讐屋、情報屋etc・・・別々のラインで動いていた物語が一つに収束していく流れが上手く出来ており、それが横で繋がっていたと明かされた瞬間の『博多豚骨ラーメンズ』の表示でタイトルドロップもばっちり。
完成度の高い作品だと思う反面、女性向けの色が強い作品なのか、ちょっとキャラクターがスマート過ぎて躍動感に欠けたかなと思う。
デュラララ!!の様な似た形式のより魅力的な作品が在ったという点も考慮すべきか。
ある程度人を選ぶ作品だとは思うが、クオリティ自体は十分に高いと言える良作。
・ハクメイとミコチ
身長9cmのこびと、ハクメイとミコチの日常を描いた作品。
ハクメイとミコチのピークは毎話のEDにある。
この作品のEDではその回で描かれたキャラクターや道具の前日譚や後日談を見る事が出来るのだが、これが作品に花を添えている。
ハクメイとミコチの日常は優しさと共に厳しさもふんだんに描かれるが、最後にはやはり優しさで包み込んでくれる。
その優しさに包まれた心地良さを、素晴らしいED曲と共に流れるこの小さな物語が、作品を見終わった後の充足感を更に昇華させてくれるのだ。
サントラやED曲も今期1、2を争うと言える程素晴らしく、ハクメイとミコチが今期の隠れた良作である事に疑いの余地は無いだろう。
・BEATLESS
AIに心の是非を問う使い古された題材のアニメ。
と思いきや、作品内で描かれるのは良くある安っぽい愛や感情ではなく、もっと理性的で理論的な人とAIの行動理念について。
テーマがキャラクターそのものに寄っていない分、個人的にはレイシアや妹達の可愛らしさをあそこまで表現する必要はなかったのでは無いかと思った。
アニメ漫画的なリアリズムに頼らずとも、もっとテーマを突き詰めて作品を魅力的に描けたのではと思い少々残念な気持ちである。
しかしそうしなければアニメ化される事も無かったかもしれないし、そこには商業主義的な側面があったのかもしれない。
話は変わるが、こういうAI等を扱う作品の場合、私はいつも違和感を覚える。
例えば主人公はAIやロボットに対して愛情を抱き人と同じように扱う事が多いが、その周りの人間達はしきりに主人公の想いを否定し糾弾しようとする。
そこに違和感を覚える。
何故なら主人公がどの作品でも大抵そういう感情を抱くのは、それは我々ユーザー側がAIやロボットをそう思っているから(思いたいから)ではないだろうか。
ユーザー側の多くがそう望んでいるのにも関わらず、作品内では主人公は異端として扱われる。
となると、その主人公の周りの人間達がそれらをモノとして扱うのは、それがあくまでも作品を成り立たせるためにそういう思いを抱くように設定しているに過ぎないのではと思う。
でないとこういう主人公が前提としてユーザー側に今まで幾分好意的に受け入れられてきた事実に説明が付かないのではないかと。
ストーリーの進行のため、又はテーマのために作品内で問題を創り出すという行為は、勿論創作物である以上必要な事ではあるが、ある程度違和感の無いやり方をするべきなのではないかと思う。
何故こんなどうでも良い事をくどくど書いているかと言うと、私は単純にこのBEATLESSをまだ楽しめていないのである。
もっと楽しみたいから楽しめていない理由の粗探しをしているのだ。
滑稽なこったな。
・Fate/EXTRA Last Encore
赤王「ばっかものー!」
赤王「順番を間違えるな!そなたの戦う理由などまだ決まっていないではないか!」
赤王「死にたくないから戦ってきた!何も分からないから上を目指してきた!」
赤王「そして、そして他の誰でもない誰かになるためそなたは目覚めたのではなかったか!」
白野「俺は・・・俺は岸波白野にはなれない」
白野「彼女のようにはきっとできない」
白野「俺はフランケンシュタインの怪物だ」
赤王「知らぬ!誰だ!」
白野「継ぎ接ぎの死体だ」
赤王「それがどうした!」
白野「死のメモリーを寄せ集めたゴーストもどきだぞ!」
赤王「余は三千年前の死人だ!」
第9話、この作品が始まって以来遂にやってきたハイライトがここにある。
正直このFate/EXTRAは何が何だか分からない。
設定も、目的も、世界観も何もかも良く分からない。
だがその曖昧で退廃したどうしようもない世界にあっても、このセイバーという存在はたった一人でそれらを全てをぶち壊してしまう。
あっけらかんとしている癖に、理論も悩みも全部通り越して真理も真実もその優しさでもって突き付けてしまう。
しかも全て相手のために、である。
セイバーはこのFate/EXTRAという物語の救いであり、岸波白野の救いであり、そして我々視聴者の救いでもあった。
セイバーが居なかったらこの作品のどこを楽しめば良かったのだろうか?
ある意味このセイバーという異常に魅力的なキャラクターがFate/EXTRAに生まれたのは、この作品が作品として成立するための必然だったのかもしれない。
・魔法使いの嫁
今回は2クール目、物語の後半となる。
前半ではエリアスとの出会いや仲間達との交流を経て、少しずつ明るさを取り戻していく智世の姿が丁寧に描かれた。
しかし後半の智世はより貪欲だ。
智世はよりエリアスを求め、そしてよりエリアスに期待する様になる。
元はエリアスが求めて手に入れた智世だったが、次第に智世の方からこうであって欲しいと思うエリアスの姿を求め始める。
そしてエリアスも智世の求める自分であろうとする。
だがエリアスは人外であり、智世は人だ。
根本的な考え方から世界の見え方までまるで違う。
やがて訪れる決裂は必然であったと言える。
しかし智世はスレイ・ベガである前に母性の人である。
エリアスを子の様に扱う事もあれば、境遇の似ているヨセフを許し、包み込んでしまう程の母性の持ち主である。
自身の過去の境遇や自身が呪いと称する母親との記憶が、結果的には彼女を周囲を恨み続けるよりも、受け入れ助けようとする存在へと変える事となった。
誰にも理解されず自らも周りを理解しようとしないヨセフと、積極的に周囲を助けようとする智世が対照的に描かれる事によって、智世ならば人外のエリアスとであっても共に歩み続ける事が出来るだろうという事を印象付ける事が出来たのが良かった。
エリアスが500万ポンドで智世を落札した事で始まったこの物語は、智世の様々な経験や出会いを経て、智世が本当の意味でのエリアスの嫁となる事で終焉を迎える事となる。
ステラのセリフを借りよう。
言葉は分かり合うためじゃなくて、話し合うためにある。
例えお互いに分かり合えない壁があったとしても、話し合う事で前へ進む事が出来るはずだ。
魔法使いの嫁という作品は、寄り添い前進するための物語である。
幼女が可愛いのは自明の理だが、この作品の幼女は性的なアピールが少ないのが良い。
所謂幼女特有の媚びが無いのが魅力。
だからギャグも自然に楽しめるし、ちょっとした言葉の掛け合いや町の人々との関わり合いを漫然と楽しむ事が出来る。
これがもしカラーズの3人が性的アピール全開の萌えキャラだったとしたら。
恐らく私は3人が斎藤やおやじと仲良くしているのを見て嫉妬していただろうね。
だからその場合作品の構造上彼女らの好意を一手に引き受ける男の主人公が必要となる。
その主人公は人畜無害な程良い。
そして主人公にはカラーズに手を出させないように同級生の女の子も用意して・・・と考えていくと、見事に天使の3P!が出
上がってしまうのだ。
勿論天使の3P!もそれはそれで良い作品だが、そこまで萌えに特化させずに活き活きとした自由奔放な幼女達をこれでもかと描く事が出来た三ツ星カラーズを私は評価したい。
カラーズの3人はただ眺めてるだけでも癒されるし楽しいが、その人間としての中身を覗き込んで見ても楽しい。
純真な三人の人間関係の中にも、結衣→琴ちゃん→さっちゃん→結衣→・・・みたいな相性があって面白く、三人の会話が色あせる事が無い。
服装も凝ってて可愛い。
特に毎回変わる琴ちゃんの帽子とバッグが可愛いよね。琴ちゃん可愛い。
結衣はリーダーで3人の中では一番まともっぽく見えるけど、他の二人が個性的な分少し抜けてる部分が浮き出てくるのが面白い。
さっちゃんはにぎやかし役で、大体いつもバカやって中心にいるのはさっちゃん。
性格の違う3人が上手く一緒にやれているのはさっちゃんの影響が大きいと思う。
琴ちゃんは言うなれば3人の中で最も視聴者側に近い存在で、適度に俯瞰的な立場に居ながらもツッコんだり悪ノリしたりと良い所取りする子。
会話にメリハリを持たせる重要な役。あと可愛い。
とにかく琴ちゃんは可愛い。
・メルヘン・メドヘン
物語を通して少女たちの成長と戦いを描いた作品。
敢え無く10話で打ち切りを食らってしまった。無念。
内容に関して個人的に言わせて貰えば、物語をテーマにするならば表面上を切り取って能力とするだけでなく、もっと物語の原点の深い所まで考察するくらいの描写を見せて欲しかった。
例えばカンピオーネ!という作品がある。
カンピオーネ!は神話をテーマとしたバトルもの作品だが、この作品の場合は相手の神格を見抜く際に、作者の神話に対する深い造詣と独自の解釈から考察された神々に対するリスペクトの精神を見て取る事が出来る。
だがメルヘン・メドヘンにはそれが無い。
物語をテーマにしている割には物語を利用しているだけの様に見えてしまった。
作者が既に他界してしまっているのでどうしようも無い部分があるのは仕方の無い事だが、テーマの着眼点が良かっただけにもっとやりようがあったのではないかと思う作品だった。
・ゆるキャン△
女子高生たちのゆるいアウトドア趣味を描いた作品。
きらら系雑誌の中では唯一4コマではなくストーリー誌であるまんがタイムきららフォワードで連載中のため、この作品も多分に漏れず4コマでは無くストーリー形式の作品。
この作品はきらら系作品の中でも殊更ゆるくそして会話も少ないが、30分枠のアニメとしてちゃんと成立しており、中だるみする事も無く最後まで存分に楽しめる作品となっている。
それはキャラクターが先行し過ぎずに、しっかりとキャンプの魅力を伝えようとするマニアックな描写や作者の意志が感じられたのが良かったのだろう。
そしてそれを体現するアニメの動画としての出来、また素晴らしいOPやEDも相まって、作品の完成度をこれでもかと高める事に成功した。
私もこの作品に感化されて、キャンプに行こうとまでは思わなかったが、実はスキレットを買ってしまったのだ。
これでスペアリブを焼くと何故だか知らんがめちゃめちゃ旨い。
オタクのキャンプブームが来るかも。
・ラーメン大好き小泉さん
金髪+竹達彩奈=カワイイ
この作品を見てつくづく思う事は、美少女は得だなという事。
仮に小泉さんが美少女じゃなかったらこの作品は成り立たない。
この作品はラーメンを食うだけの小泉さんを周りがにぎやかす事によって成立している。
小泉さんはラーメンを食う。ひたすら食う。何故太らないのか知らんけどとにかく食う。
他の奴ら、小泉さんに釣られてラーメンを食う。ひたすら食う。何故か知らんけど食う。
これだけ。それでタイトルが『ラーメン大好き小泉さん』
凄くシンプルで潔い。
でもそれだけで30分のアニメが成立している。
何故か。
それは小泉さんがカワイイから。
そういう意味では、この作品は構造的な分解がしやすい作品とも言える。
シンプルな構成なのに飽きさせない作品作りのキモを構造から見ていく事でより楽しめるようになる良作だと言える。
・りゅうおうのおしごと!
将棋をテーマとした作品。
この作品の良い所は、キャラクターが将棋に対してしっかりと向き合っている事である。
主人公は可愛い幼女や幼馴染に囲まれる所謂ハーレムを形成する事になるが、この作品の場合そこに不快感は無い。
将棋というゲームを利用したハーレムものではなく、将棋をしっかりと描いた結果のハーレムであり、そしてそこに納得する事の出来るハーレムだからである。
この作品の本筋は主人公の九頭竜八一にあるが、彼を取り巻く周囲の人間にもそれぞれの将棋に対する物語がある
特に桂香のストーリーは印象的だった。
これだけ可愛い魅力的なキャラクターが揃いながらも、私が最も心動かされたのは、その中では最年長、かつ主人公のハーレムに入っているとは言えない桂香の物語だった。
勿論桂香だけでなく、二人のあいや銀子の想いも十分に描かれていた。
そしてそれぞれの物語が、最終話の八一の竜王戦へと繋がっていく。
多少乱暴な展開はあったものの、最初から最後まで楽しめる良作だったと言える。
そろそろ将棋をちゃんと覚えないといけない時期が来たの
もしれない。
あ、私の好きなキャラは夜叉神天衣ちゃんです!
・ヴァイオレット・エヴァーガーデン
アニメを見て「感動する」とはどういう事だろうか。
BGMに胸を打たれる
脚本に心が震える
映像に魂が揺さぶられる
テーマに感服させられる
セリフに感極まる
各々何かが心の琴線に触れる作品というのは少なくない。
しかし凡そアニメを構成するあらゆる要素全てに感動する作品というのは滅多に無いだろう。
しかし今期、2018年冬、その作品が確かに存在した。
それがこの『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』である。
「愛してる」を知りたがる少女ヴァイオレットは、自動手記人形として手紙を代筆する内に、人々の心に触れ、言葉を理解し、そしてその意味を知る事になる。
ヴァイオレットが自動手記人形となる以前、彼女は兵士であり、自らを道具だと思っていた。
しかしギルベルトはヴァイオレットを道具として扱わず、人として生きていく事を望んだ。
そしてその願いは叶う事になる。
いや、最初から彼女は道具ではなかったのだ。
もし本当に道具だとしたら、少佐の命令を聞いていたいなどとは思わないし、少佐の瞳と同じ色のブローチを大事になどしなかっただろう。
彼女は最初から感情を持つ人間そのものだったのだ。
この作品は、ヴァイオレットが手紙を通して「人」を知るための物語。
「人」を知ったヴァイオレットは、やがて「愛してる」の意味を理解する。
そして「愛してる」を理解したヴァイオレットが、初めて自らで書いた少佐への手紙をしたためた所でこの作品は終幕を迎える。
数々の名作を生んできた偉大なる京都アニメーションの中でも、この作品は傑作中の傑作と称するに値すると私は思う。
自動手記人形であり、そして人間であるたった一人の少女。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』
少女の名を冠するこの作品が、ここに生まれ落ちた事に私は感謝したい。
大分長くなってしまいましたがこんな感じになりました。
今期の個人的なベスト5を挙げるとすれば
1 宇宙よりも遠い場所
2 ヴァイオレット・エヴァーガーデン
3 りゅうおうのおしごと!
4 スロウスタート
5 ハクメイとミコチ
三ツ星カラーズとゆるキャン△も入れたいが仕様が無い。
文字数制限でこれ以上書けない。無念。
2018年春も素晴らしい作品と出会える事を祈りつつ
ではまたですノシシ
三ツ星カラーズマニアのコレクション
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好きなアニメあっ…