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GPS6戦が全て終了し、もう来週にはファイナルが開催されます。2018‐2019年のシーズンがほぼ中間点に差し掛かろうとしているところで、感じたことを少し、書いておこうと思いました。
夏にカナダ代表の強化合宿で取材を行なった時にケヴィン・レイノルズ選手がインタビューで言ったのが、ルールの大幅な変更によって今シーズンは「試行錯誤の時期が見られるだろう」ということ。
これはその通りになりました。ジャッジ、選手、コーチを含む競技関係者がまだまだ新しい採点システムに適応するまでに時間を要するだろうことは一般のスケート・ファンから見ていても明らかです。
パーフェクトな採点システムというものは存在しないのかも知れませんが、どのようなプログラムや演技が望ましいのか、で意見が一致していれば、なるべくその理想に近いものを全ての選手が目指す動機となるようなシステムを構築するのがISUの仕事。GP6戦が終わって、その兆候が見られるかと問われれば、特に男子の場合、必ずしもそうではない、と言わざるを得ません。
ただ、羽生選手をはじめ、トップの選手たちはネイサン・チェン選手にしても、宇野昌磨選手にしても、四回転ジャンプをハイリスクだからと回避しているわけではない。誰もがリーダー的存在として認めている羽生選手が率先して「二回転ジャンプを跳ばないような構成」を目指していると述べているので、志の高い後輩スケーターたちはまさか三回転一辺倒の時代に逆戻りすることはないでしょう。
とにかく、我々ももう少し、静観する必要があります。この混乱のシーズンを通過しなければいけない選手たちには本当に気の毒ですが、何が結果的に浮き彫りになるのかは、とりあえずシーズンが終わるまでは評価できない気がします。
さてさて、この雑感シリーズで私がまず書きたいのは「選手が練習拠点を替える時」について、特にエフゲニア・メドヴェデワ選手のケースについて、です。
平昌五輪後、多くの選手やチームが練習拠点を移しました。これはある意味、五輪で満足の行くような結果を得られなかった選手たちが「リセット」を目的に新しいスタートを切るために取る、ごく自然な行動だと思います。
五輪で大きな失望を経験した選手は、すぐに元通りの環境で元通りの練習メニューに戻ることの方が珍しい。
カナダに限って言えば、ソチ五輪で銀メダルに甘んじたヴァーテュー&モイヤー組は二年間の休養を経て、ようやく現役生活に戻った。パトリック・チャン選手も「金メダル最有力候補」と言われながら羽生結弦という若手の天才選手に最後の最後で追い抜かされ、ショックから立ち直るのに一年間の現役離脱を要しました。
そして復帰後、テサモエたちは長年付いていたコーチから離れ、ホームリンクを替えた。パトリックも試行錯誤の末、練習場所を数回移動させ、そしてコーチも数回、替えました。
その時、彼らを責めた人はおそらく誰もいなかったと思います。現役時代の短いアスリートには自分たちの思うような環境で、思うような練習を積む権利があります。ましてや祖国代表として、すでに立派に国際試合で戦い、多くの実績を残した選手となれば、誰が何を言う理由があるでしょうか。
私は平昌後にクリケットクラブへの移籍を表明したメドヴェデワ選手がどのように今シーズンを戦うのか、そしてこの大きな変化が彼女にどのような影響を及ぼすのかを興味深く、フォローしています。
オータムクラシックで彼女の初戦を見ることができて、これまで持っていた彼女に対するイメージがかなり変わりました。
2016年のスケートカナダ(ミシサガ大会)でもメドヴェデワ選手を見る機会がありましたが、あの頃の彼女は精密機械の様に、一部の狂いもなく、全ての試合において全てのプログラムをノーミスで滑ることの出来る選手でした。大会中はひどい風邪を引いていたにも関わらず、リンクに出ると見事に集中してそんなそぶりは一切見せない。記者会見でも(ようやく17才になろうかという)年齢以上の落ち着いた態度と冷静な演技の分析が印象に残りました。
ところがオータムクラシックでは、ミシサガ大会の時と比べるともっと人間味のある(と言えば語弊があるかも知れませんが)、柔らかい女性になっているような気がしました。これはある意味、競技者としてはハンディになるのかも知れませんが、身体的にも変化が起こっているのは事実なので、それを含めてこれからのキャリアをデザインしていくしかないのかな、と思いました。
クリケットのコーチ陣にとっても、メドヴェデワ選手ほどの実績を持った選手を受け入れるのはリスクが伴うでしょう。しかし単に過去二度の世界タイトルに輝き、オリンピックで銀メダルを獲った選手をコーチする、ということではなく、「新しいエフゲニア・メドヴェデワを全員で創り上げる」という作業に取り組んでいるのではないかと私には感じられます。非常に困難で、長期的なプロジェクトでしょうし、どのような結果が得られるのかは誰にもまだ見えない。ブライアンたちはこれまでの実績や評判を懸けて、彼女をサポートすることを決めたのですから、その覚悟は並大抵のものではないでしょう。
フランス杯でのフリーの演技後、キスクラで呆然とスコアを見上げる彼女の両脇に、何とも言えない表情で座っていたブライアン・オーサーとトレイシー・ウィルソン。特にブライアンに関しては、もっと教え子を労わってあげたら良いのに、などというコメントをそこかしこで目に(耳にも)しましたが、彼ほど経験のある指導者であれば、その時、その状況に即して最も適した態度を取っているのだろう、としか思えません。メドヴェデワ選手のアスリートとしてのプライド、彼女が抱いているであろう様々な感情、そのようなことを全て踏まえたうえで。
似たような光景を見たことがあります。
五輪直後の2014‐2015年シーズン、グランプリシーズン初戦で羽生選手は他スケーターとの衝突事故に遭い、心配されながらも次戦のNHK杯に出場しました。その試合のフリー演技で「らしくない」ミスが多く出てしまい、結果は150点台というス
コアでした。この時もブライアンはあえて目を合わせて慰めるでもなく、ただ、言葉少なに横に座っていただけ。何を言わずとも本人が一番、今滑った演技が何を意味するのか分かっている。ジュニア選手ではなく、五輪チャンピオン、ワールドチャンピオンなのだから。
このフリー演技に関してブライアンが後ほど、インタビューに答えています:
“You know, each skater gets his humbling competition, when you have to walk ashamed in front of everybody. We all have that. I was not hoping for it, but there is always a silver lining. If you manage to get something good out of something bad, that’s nice.
「あのね、選手は誰でも一度は屈辱的な大会を味わうものなんだ。皆が見ている前を恥ずかしい思いをしながら歩かないと行けない、という。僕らは皆、それを経験するんだ。こういう事が起こってほしいと思ったわけじゃないけど、でも(起こったら)そこから何かポジティブな事を見つけることはできる。悪い経験から何か良い学びがあったら、それでいい。」
(2014年12月11日記事:より)
不本意な演技をしてしまった時、多くの観客の前を通ってキスクラに向かい、容赦なくカメラに大写しになったまま、スコアを受け止めなければならない。その時の気持ちは、その同じ立場に立たされた者にしか分からないでしょう。
そこで注目したいのは、上記のブライアンの言葉の中でも
We all have that.
僕らは皆、それを経験するんだ。
という部分。
ブライアンも、トレイシーも、現在コーチ業を営んでいるだけではなく、自身もかつては世界選手権やオリンピックで戦い、メダルを獲ったスケーターであった。このことを忘れてはいけません。
ましてやブライアンは、五輪で金メダルを獲る可能性があったのに銀メダルで終わっている。2014年ソチ五輪でのパトリック・チャンの気持ちを一番よく理解できるのは彼、と言われたように、ブライアンはメドヴェデワ選手の気持ちもよく分かる違いありません。だからこそ、彼女と一緒にこの険しい道を歩むことを決めたのではないかな、と私は思います。
繰り返しますが、結果は望んだとおりのものになる保障はどこにもない。
けれどメドヴェデワ選手には新しい挑戦をする権利があるし、他人はそれに対してとやかく言うべきではない。
引き続き、彼女のこれからの戦いをフォローしていきたいと改めて思ったことでした。
さあ次は雑感その②、で羽生結弦選手について書きたいと思っていますが、一日くらい、開くかも知れません(いや、絶対に開く)。
よろしくお付き合いください。
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今まで沢山のコメントをありがとうございました💓
メッセージも12/3をもって閉鎖することにしました(>_<)それまでに頂いたメッセージは12/4以降にゆっくりお返事させてください💓
今日でメッセージも受け付けない設定にさせてもらいます(TT)(今夜21時くらいには閉店ガラガラにします)
本当に沢山沢山メッセージ頂いて、みなさんもうお別れみたいに書くから寂しいやんー😭笑
でも嬉しくて涙浮かべながら読んでます。
また、たまーーにどっちか開けてみることもあると思うしー!
またお話してくださいねー😭
あとTwitterとかにはいるんですよ😭
そっちからでもいつでも声かけてくださいね!笑
でわ!
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試合にカーテンコールなどないわけですが、
昨日の都民大会での梶田健登選手のFPの試合の最後は
まるで、舞台のカーテンコールを見ているようでした。
今季で引退表明をされているかじけんくん。
東京代表として国体に選ばれたら、国体が最後の試合。
国体は、釧路で開催のため
地元東京での試合は、この大会が最後の試合となります。
私は国体には行かないので、私がかじけんくんの演技を観るのは、これが最後となります。
最後のFPは「ロミオとジュリエット」
6練から、大歓声。
それはまるで全日本のときのようでした。
引退する選手のために、今回試合に出ていない仲間達も多く駆けつけ
彼らの声援が会場に響いていました。
演技を終えると、会場からは大きな拍手。
スタンディングオベーション。
かじけんくんは、客席を見わたして、
ゆっくりと深く深くお辞儀。
また客席を見上げて
またゆっくりと深くお辞儀。
ゆっくりとゆっくりと頭を下げる、その姿は
ノービスのときから、第一線に活躍する一人として
長年にわたり日本男子を牽引されてきたその長い道のりを
表しているかのようでした。
ジュニアのときはジャパンジャージを着たときもあった。
東京都の連盟の特別強化選手として
現在まで、東を代表とする選手のひとり。
今季、全日本出場は叶わなかったけど
でも、かじけんくんの長年のスケート人生は
多くの人をひきつけ、今もその美しくてスピードのあるスケーティングの上手さは
多くのファンに支持されています。
かじけんくんの、深い深いお辞儀と
観客からの拍手は、ずっと続いていました。
「終わってほしくない」という観客の思いが
拍手となってリンクに伝わっていました。
みんな同じ思いだったと思います。
いつまでも、
永遠に、この彼の演技の時間が続いて欲しかった。
東京最後のロミオ。
このロミオのことは絶対に忘れません。
梶田健登選手、お疲れさまでした。
素敵な優しいロミオでした。
国体の東京代表、決まるといいな。
多くの人に彼のロミオを見てほしい。
私が応援できるのは、リンクの上に
いるときだけなので、
リンクから離れたら
彼等の新しい未来が良いもので
あることを祈るだけです。
もし、幸運なことに
何かの機会で、リンクに立つときが
あれば、駆けつけるのみなのです。
そんな思いでいます。
かじけんくん、実は
あまり、話したわけじゃないけど、
個人的な思い出は
去年の東京開催の全日本。
フリーにすすんで
男子フリーの日、
全部の試合が終わった後、
会場から帰る前に、
私だけお手洗いに行こうとして、
その通路でばったりお会いして、
その場で話してくれたことがありました。
静かに感情が興奮している感じで
静かに、でも
早口で、演技のことを話してくれた。
かじけんくんが、あんなに話すのを
見たのは初めてでした。
嬉かった思い出です。
たくさんの試合の思い出があり
尽きません。
ありがとうございました。
そしてお疲れさまでした。
このあと、都民大会レポを書きます。
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